(540)令和で想う万葉集

新元号が令和と決まった。安倍首相の談話について同じ想いであり、日本人の心に染み入るところがある。
万葉集についてはそんなにというか、あまり知らないでいるが、少し齧ったところで、和歌では最も親しみやすく共感を覚える。平安時代以降の洗練された和歌の数々、確かに良いものが数多くあるけれどれど、それらは貴族や武士という限られた階層の人たちのものが多い。しかし、万葉集には防人を初めてとして庶民,下層階級の人たちの歌が多くみられる。それぞれの心境が素直素朴な形で詠われていて好感を持てる。それ以後のものよりも断然この万葉集が素晴らしいと私は思っている。
予て気に入って書き写していたいくつかを下記に記す。

吾を待つと 君が濡れけむ あしひきの 山のしづくに 成らましものを
                                石川郎女
さひのくま 檜隈川の 瀬を速み 君が手取らば 言寄せむかも
信濃なる 千曲の川の 細石(さざれし)も 君し踏みてば 玉と拾はむ                            
筑波領に 雪かも降らる 否をかも かなしき子ろが 布(にの)干さるかも
                                東歌

愛(うつく)しき 人のまきてし しきたへの わが手枕を まく人あらめや
世の中は むなしきものと 知る時し いよいよますます 悲しかりけり
わが命も 常にあらぬか 昔見し 象(さき)の小川を 行きて見むため
わが盛(さかり)また変若(をち)めやも ほとほとに 奈良の都を 見ずかなりなむ                              
あら醜(みにく)賢しらおすと 酒の飲まぬ 人をよく見れば 猿にかも似る

                               大伴旅人
妹が見し 楝(あぶら=栴檀)の花は 散りぬべし わが泣く涙 いまだ干なくに
世間(よのなか)を 憂しとやさしと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
                               山上憶良
                                 
春の苑 紅にほう 桃の花 下照る(したでる)道に 出でたつおとめ
わが園の 李の花か 庭に散る はだれのいまだ 残りたるかも
朝床に聞けば遥けし 射水川 朝漕ぎしつつ 歌ふ船人
春の野に 霞たなびき うら悲し この夕かげに 鶯鳴くも
                               大伴家持

わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて よに忘られず
わが妻も 絵に描きとらむ 暇(いつま)もが 旅行く吾は 見つつ偲はむ
時々の 花は咲けども 何すれぞ母とふ花の さき出来(でこ)ずけむ
父母が 頭かき撫で 幸(さ)くあれて 言いし言葉(けとば)ぜ 忘れかねつる
布多ほがみ 悪しけ人なり あた病(ゆまひ)わがする時に 防人にさす
                               防人の歌

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